2010年3月9日火曜日

新卒採用と集団主義

去年就職活動を経験してから、「雇用」に関して、よく考えるようになった。
2010年採用は就職氷河期だと言われる。自分もなかなか採用されなくて、
つらい思いをした。

そもそも、新卒採用とは何か。
大学や大学院などを卒業する学生を対象にした企業の採用枠である。
主に、新卒枠では企業は、スキルや経験などにより採用しているのではなく、ポテンシャルで採用している。スキルも経験も無い日本の学生はとても嬉しい話である。

日本では新卒採用は当たり前であるが、アメリカの雇用市場では、新卒採用というものがない。もちろん企業は大学を卒業する学生を雇用するが、日本と決定的に違う点は、学生が何ができるかを重視する点だ。よって、学生は希望の職につこうと経験やスキルを得ようとする。なので、在学中のインターンシップ等がより重要となる。インターンシップを通して、その業種や職種のEntry level の経験やスキルを得る。アメリカの大手求人サイトのMoster.comを見てても、ほとんどの仕事で当たり前のように経験が要求されているし、普通の新卒学生は一体、どこに就職しているのか?ってほど、新卒枠が見当たらない。日本で良く見かける未経験okなどという求人は残念ながら無いし、文系の学生がITの職に就く事もあまりないとうに思う。要するにその職に行きたければ、卒業までにどんな手を使ってでも機会を得て、少しでも経験を得ろよ、って事なのだろう。経験もスキルもない学生にとって、辛いシステムだ。よって、卒業後定職につけない人も必ずいて、この雇用制度は失業率の上昇などを招いているのは確かだと思う。そういう意味では、経験がなくてもある程度採用される新卒採用は雇用を安定させる効果があり、良いようにも思う。

しかし、別にアメリカの雇用制度がより良いと思っているわけではないが、日本の新卒採用には限界があると思う。現状のように景気がまだ回復せず、苦しんでいる間は企業はあまり即戦力につながらない新卒より、中途採用を行う。現にどこかのサイトで新卒採用は増加せず、中途採用は増加傾向にあるというニュースを見た。その割に既卒者は、職歴がないにも関わらず、新卒枠には応募できない事が多い。新卒枠へ応募する権利を確保するために留年し、就職浪人する学生も多い。社会がそういう風潮なら、学生は少しでも有利に就職活動をすすめるために、そうせざるをえない。あまり変わらないのに既卒者と新卒者の壁は高い。

少し話を変わるが、自分の中では、新卒採用という概念が存在するのには日本の集団主義がどこか影響していると思っている。というのも、最近になって、ようやく少しずつ、大学の9月卒業や飛び級制度が出来つつあるが、皆一緒に4年間過ごして、皆一緒に卒業するという流れが一般的である。日本という国は「皆一緒」が好きなのかもしれない。みんな一緒であれば、あんまり深く考えなくとも、波に乗って行動すれば、ある程度上手く行く。そういう考えがあるようにも思う。少なくとも自分がいた大学はそういう学生が多かった気がする。新卒採用は自己責任の国のアメリカには合わない制度だ。

話をまとめると、今の新卒採用はどこか間違っている。というか日本社会が間違っている。年功序列がまだ残る社会で仕方ないと思うけれど、既卒者と新卒者の違いは生産性から見て、あまり大きな違いはないはず。経験で評価するなら新卒採用制度は必要ない。じゃあ、ポテンシャル?1年や2年しか変わらないのにポテンシャルが無いという事なのかな?そうは思わない。なのに、社会はそれらを大きく区別する。区別するなら、するのは良いが、せめてサポートが必要だと感じる。卒業後数年は新卒枠への応募は可能にしてみたり、国や公共機関による既卒者の就職サポートなど。また、大学は4年間、卒業は3月という概念も崩すべき。大学でも取得単位数に限界がある事も問題だ。学期間で物理的に取得が不可能だという理由で制限するのは良いけれども、時間に余裕があるのに無駄に4年間いなければならない理由をつくるのは合理的ではない。理系では無理かもしれないが、文系なら3年間卒業する事も実質可能だと思う。1年早く社会に出れるメリットもある。「皆一緒」という概念を崩した方が良い。

ただ、社会だけでなく、学生にも問題がある。大学生生活は色々な事を経験するためにあるのだと個人的に自負しているけれども、だからと言って、将来の事を考えず、遊ぶべきではない。次に繋がる事を学ばなければならない。そういう意味でもっと経験を重視する雇用制度であっても良いのかなという気もする。また、就職が決まらないのは、確かに経済の問題もあるけれども、他人と差別化できていない学生にも問題がある。自分が能力的に必要とされる人材であろうとし、大学卒業するまでに社会で使える能力やスキルを得ることは極めて重要だと思う。

以上、堅いトピックでした。(話がいまいち、タイトルとあってないような。。。

4 件のコメント:

nepal さんのコメント...

確かに、日本社会の採用制度は既卒者に不利な点もあるよな。「新卒」というブランドだけで勝負が出来ない時代になってきているし・・。個人的な能力に関して言っても、今後国内だけじゃなくて、世界と勝負する時に、スキルを身につけていないと、日本企業にいながら外国人の上司に「使われる」という現象が起こってくるのかもね。

日本の社会的なシステムを変えるのは時間がかかるし、日本の採用システムが変わる事を待つ前に、俺らに出来ることは、自分から他と差別化を図ることだと思う:)

これは俺の個人的な感想だけれど、学生は将来の夢を定めて、それに向かって勉強する必要がある+しっかりと遊ぶべきだと思うよ。悪い意味じゃなく、人として幅が広がるし、一見無駄な事なんだろうけれど、そこから学ぶ事って凄く多いと思うんだよね。社会人になって、「真面目さ・勤勉さ・熱意」に加えて、「人としての幅、魅力」が凄く大切なんだって感じてる。俺は、仕事も遊びも精いっぱい楽しむビジネスマンでありたいと思う(笑)

キサバニー さんのコメント...

長いコメントありがとうネパさん。
激しくあぐりー。差別化はしないと、その他大勢になってしまうもんね。それじゃあだめだわ。

それに遊ぶ事は価値観形成にとっても大事よな。色々刺激になります。やっぱ社会人はちがうね〜w
じゃ、引っ越し後はよろしく^^遊ぼうや

Unknown さんのコメント...

初書き込み失礼します。
まあ僕も元外大生ですが。

確かにアメリカでは日本のような新卒採用至上主義的な雇用慣行はないですね。
能力があるから採用する。ないならクビ。論理的でわかりやすいです。

一方で、日本の会社では新人や未経験者を会社で育てようという一般的な考え方があると思います。だから新入社員はどんなミスをおかしてもたぶんクビにはならないし(法律的にも解雇は難しいようですが)そもそも1年くらいで活躍することを期待されてもいない。
(もっとロングランで2~3年で教育するくらいの方針のように思えます。)

そこのところ、アメリカではそういう教育をほぼ大学&大学院に任せていると思います。
すでにビジネススクールに行くのは義務的になりつつある(行く人の数がすごいから)って聞くし、会社で教育しようなんて考え方があまりないと思います。一応job training的なものはあるらしいけど、短期間なもの。
基本的に入社したらほぼ一人前に仕事を任せられると聞きます。

どちらの方式にもメリットデメリットがあるからどちらが絶対いいとは言いにくい。
この投稿でもあったように、日本のシステムは新卒採用されないとレールから外れて既卒で理不尽に就職が難しくなるけど、基本的に社内で人を育てる方針なので 未経験者OK とかいう採用広告がいっぱいだったりする。それはある意味能力がない人も含めてみんなに優しい。

アメリカはというと、レールそのものが存在しないから、能力さえあれば採用が決まる。
ただ能力がないなら採用されないし、教育も大学とか大学院に行って高いお金を払わないといけないわけだから社会的にフェアーじゃない。まあそのために返済不要の奨学金とかがあったりするわけだけど、
結果的に貧富の差が広がるということにつながってると思います。

新卒採用の理由は集団主義もあると思うけど、単に海外企業と比べて簡単に人を解雇しにくいからじゃないかと思います。法律で。
それでいていわゆるブラックという残業時間とか労働基準法は破りまくりの会社があるのは矛盾してますが。

日本はアメリカ化してるって言われてるけど、実はヨーロッパ化かなって最近思います。市場は小さくなっていくのに年寄りばかりが権力とお金を持ってて、若い人にはチャンスがない。今やばいスペインなんかはそんな感じらしいです。

今日のニュースでやってたけど、新卒採用も就職氷河期以下に落ち込んだらしいですね。
あふれた若者はどうなるんでしょうか。ニート・フリーターですかね。もったいない。
日本はほんとに無駄遣いしてますね。


てか夢中になって書きすぎました笑
またおもしろい記事を期待してます。

新社会人がんばって!

キサバニー さんのコメント...

shiman chuさん
はじめまして、こんにちは。
とても解りやすい、良いコメントありがとうございます。
shiman chuさんの指摘も正しいですね。アメリカのシステムは貧富の差を拡大させてますよね。実際、アメリカにいた時にそれを強く感じました。日本は、どれだけmiddle classの比率が多くを占めているかを肌で感じました。ただ、州立大に限りますが、低所得者でも多くの学生が政府の補助金や、おっしゃっていた返済不要の奨学金で大学に来ているので、国もしくは州も貧富の差に対して、少しなりとも努力しているのだと思っています。
でも、やっぱり、どっちもメリット、デメリットありますね。日本の新卒採用のおかげで、春から働く自分があるという事もありますしね笑 

アメリカの失業率が高さは、それはそれで大変ですが、日本の次の社会を担うであろう新卒の就職率が低いのも、あまりいただけませんよね。会社からすれば、景気が回復すれば、採用を増やしたら良いという考えでしょうけど、社会はホント労働力を無駄にしてます!

とまぁ、あまり気の利いたコメントをお返しすることができませんでしたが、コメントをありがとうございました。
働き出してから、色々考えることもあり、書きたい事も増えるはずなので、またこのブログに足?を運んでくだされば、と思います。

新社会人がんばります。